さて、今日は、経験としての情報共有です。
前情報として、患者は舅(81歳※夫とは年が離れているため、高齢です)
4ヶ月前に年に一度の胃の検査で胃の入り口に進行性の癌(浸潤癌)が見つかり、医師から「リンパも一緒に取りたい」とのことで、胃の全摘手術を受けました。その際、胆汁の分泌が害になるとの見解から胆のうも摘出しています。
1年間に限り、抗がん剤を服用しています。
2ヶ月前から、リンパ浮腫になり、下半身がパンパンに膨れました。足の裏まで腫れ上がって治らず、医師に相談しても、病院内でたらい回しに^^;
年末、接合部に痛みが強く出て、救急車を呼びました。
その時のCT検査では、「異常はないが腸のむくみが気になる」とのことでした。
その後、担当医のいる病院で胃カメラ検査をし、異常なし。
そのわずか1週間以内に腸閉塞で緊急入院となりました。
小腸は、食べ物が詰まりに詰まって直径15cmにまで膨れ上がり、破裂寸前でした。
舅は、食べるのが唯一の楽しみというくらい、食へのこだわりがあります。
食べ方も、ほぼ噛まない。
美味しいと、噛まずに流し込もうとしてしまいます。
申すまでもなく、胃は、咀嚼によって細かくなった食べ物が最初に溶かしてペースト状にして、幽門から少しづつ少しづつ腸へと送ります。
胆嚢からの胆汁も、消化を助けてくれます。
それらがなくなってしまった分、食べる食材、食べ方、食べるスピード、食べる量には、細心の注意が必要になってきます。
よく、胃はなくなっても、腸が膨らんで再建されると言いますが、腸は腸の働きしかできません。
この都市伝説は要注意です。笑
舅の好きなものは、消化の悪いものばかり。
いわば、「食べられなくなるもの」ばかりです。
胃癌になるということは、胃にかなりの負担を強いているので、そもそもの話で、食生活を根本から見直す必要があるのです。
しかし、消化の悪い好きなものを我慢できない。
美味しいから噛まない。
いっぱい食べてしまう。
栄養指導では、「何を作ってもらうかではなく、出された食事をいかに食べるか」という指導がなされています。
もちろん、炊事係の私も、食べていい野菜でも、繊維を細かく立つように切ったり、ほぼみじん切りです。
控えた方がいいものは、声をかけます。
誰もがチェックできるように、絵付きの一覧表を冷蔵庫に貼ってあります。
しかし、自分で買ってくるものや自分で作るものに関しては、声がけも非常に難しいです。
お正月は大好きなお餅を食べ、消化の悪いイカや魚卵もあまり噛まずに飲み込み、いか人参という自作のお漬物を食べ(昆布とスルメが食べてはいけないものです)、2日の夕方から水も吐いてしまう状況になりました。
丸一日以上水分補給と食事ができなかったために、点滴をしてもらう必要を感じ、半ば無理強いに近い形で、開院と同時に病院へ送り届けました。
そこで、腸閉塞を見つけてもらえたのです。
今は保存治療をしていただいていまして、絶食&点滴で腸の回復を待ち、自然と排泄されるのを期待している状況です。
明らかな異常としては、お腹の強い痛みと、嘔吐、水すら入っていかない(痛みが出て嘔吐になる)というものが特徴として出ます。
実は、今回が初めてではなく、年末に救急車を呼んだ時も同じ状況でした。
その時にはまだ今より軽い詰まりだったのではないかと思うのですが、残念ながら見つけてはもらえませんでした。
今更ながら、身体の器官何一つなくなっても健康を保つのは難しいこと、毎日毎時、どれだけ身体が「生きること」を支えて働き続けてくれているのかを思い知ります。
病気になる前に、少しでも労わることができたなら、身体の一部を失わずに済むのかもしれません。
そして、他の器官を傷めないように、切除後は、身体への思いやりが本当に大切で、必要不可欠です。
家族がどれほど心配し、努力しようと、本人の意思がなくては一緒に身体を守ってあげることができません。
一番辛いのは本人ですが、自分の意思が家族の手助けを生かす手立てであるということを、舅にも気が付いて欲しいと願うばかりです。